コンピュータシステムへの不正アクセスやフィッシング詐欺など、情報ネットワークの仕組みを悪用した事件が相次いでいる。また、各種の情報漏洩事件に見られるように、情報セキュリティ管理が適切になされていない環境下では、悪意を持たない人であっても知らないうちに他人に迷惑をかけることになりかねない。このような被害を未然に防ぐために、自宅や会社で日常的にネットワークに接続された情報機器を利用する私たちにとって、必要とされる情報技術の知識(ITリテラシー)は水準が高くなっている。しかし、情報の専門家でなければ、そのような知識を体系的に学ぶ機会は少ない。
本書では、ネットワークおよび情報セキュリティに関する知識について、情報化社会を安全に生きるために、一般の人が知っておくと役に立つ話題を中心に、若干専門的な内容にも踏み込みながら解説する。
本書は、著者が東洋大学経営学部で2009年度から開講している「情報処理実習E(ネットワークと情報セキュリティ)」で使用しているテキストであり、PDF版をダウンロード( http://www2.toyo.ac.jp/~seki_k/security/ )可能である。ダウンロードページには、各章の内容に関連した参考サイトをリンクしている。1章では情報倫理と情報セキュリティの大切さについて概説し、2章と3章でネットワークの仕組みについて、4章で情報セキュリティについて詳しく学習する。授業の流れに沿って章立てを編成したが、セキュリティに関する話題を中心に学習したい人は、1章と4章を最初に読み、必要に応じて2章と3章を読むと良いであろう。章末問題には、各章の内容に関連する情報処理技術者試験(主にITパスポート試験)の過去問題を載せた。
目次
1章 情報倫理と情報セキュリティ
1-1. 情報倫理
1-2. 情報セキュリティ
2章 ネットワークの基本的なしくみ
2-1. ネットワークとプロトコル
2-2. ネットワークの構築
2-3. IPアドレス
2-4. ドメインネームシステム
2-5. TCPとポート番号
2-6. ネットワークの状態の調べ方
3章 ネットワークサービス
3-1. Webのしくみ
3-2. メールのしくみ
3-3. 様々なアプリケーション層のプロトコル
4章 情報セキュリティ対策
4-1. ネットワークとセキュリティ
4-2. コンピュータシステムに対する攻撃方法
4-3. サイバー犯罪の増加
4-4. セキュリティ対策
4-5. 暗号化技術
4-6. 情報セキュリティポリシー
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