1)内容
ベーシック・インカムとは何か?
ベーシック・インカムが実現したら、どんな世の中になるのか?
ベーシック・インカム実現を阻む壁は何か?
専門家による難しい財源論や社会保障制度の話ではなく、ベーシック・インカムの初心者向けに平易な言葉で書かれた気軽に読める書籍。
また、ベーシック・インカムのメリットだけでなく、実現に向けた課題や負の側面にも目を向け、「国民一人ひとりの意識改革」を促し、国よりも個人、お金よりも心に焦点を当てて書いている。
以下、本文より一部抜粋
今ここに存在しているというだけで、我々一人ひとり、誰一人例外なく、価値があると言える。存在しているだけで、社会貢献しているのであり、存在しているだけで、仕事をしていると言える。その存在価値に対する対価がベーシック・インカムである。単なる貧困対策ではない。
ベーシック・インカムは、人々を労働から解放する。「働くな」と言っているわけではない。もっと、自分らしく、人間らしく生きることを勧めているのである。自分という個の花、唯一無二の花を咲かせるのである。
ベーシック・インカムは、労働の否定ではない。多様な働き方を実現し、安心して働くことができる環境を創り出すものである。
東洋医学のように、全体を一つと見なければいけない。その視点が、ベーシック・インカムである。
ベーシック・インカムによって、初めて企業と従業員は対等な立場に立つのである。そうなれば、「ブラック企業」や「内部告発」という言葉も、やがて死語となるだろう。
女性の生き方に理解を示さない男性や、部下を理解できない上司にとっては、ベーシック・インカムは都合の悪い制度になるかもしれない。
ベーシック・インカムは、最低限の生活を保障することにより、一人ひとりに生きる力を与える。よって、企業や男性が、権威や地位、暴力等の不当な力によって個人を抑圧したり、拘束したり、従属させることができなくなる。
「バラまき」が問題なのではなく、「どこにどれだけバラまくか」が問題なのである。これまでは、特定の業界や特定の組織・団体ばかりにバラまかれており、その恩恵を受ける人は限定的で、かつ、同じ人がいつも恩恵を受けており、不公平であった。ベーシック・インカムは、全ての国民に公平にバラまくのである。
ベーシック・インカムは、生活に必要な最低限の金額を支給するだけで、国民の幸せを直接保障するものではない。幸せになれるかどうかは自分自身のお金と時間の使い方によって決まってくる。
「~をしなさい」と言われれば、日本人は忠実にそれを実行するが、「何をしても良い」と言われると、かえって迷ってしまう。ベーシック・インカムは、「何も考えずに、ただひたすら与えられたことや決められたことをやる人生」から、「自分で考え、意思決定し、行動して、自分で責任を取る人生」へ転換することを促す。
ベーシック・インカムは、「お金をもらえる制度」であるが、同時に「お金を自分で管理しなければならない制度」でもある。
ベーシック・インカムは、幸せになるための必要条件であるが、十分条件ではないのだ。
2)目次
第一章 現行制度の崩壊
社会保障制度の崩壊
軽視される介護及び保育業界
生き方及び働き方の多様化
未成熟社会から成熟社会へ
第二章 ベーシック・インカムとは
ベーシック・インカムの定義
国の役割とは何か
労働とは何か
ベーシック・インカムとは、東洋医学的観点である
第三章 ベーシック・インカムが実現された社会
ベーシック・インカムの可能性は計り知れない
ストレスのない社会
労働からの解放
誰でも政治家になれる
介護及び保育業界の人材不足解消
従業員満足度の高い企業のみが存続する
余暇の充実
東京一極集中是正と地方の活性化
伝統工芸と農林水産業の継承
地域社会と犯罪防止
教育とスポーツ及び研究の発展
人間関係の改善
行政の無駄の削減
第四章 ベーシック・インカム実現への課題
財源と支給金額
支給範囲
他の社会保障制度や税制、補助金等との兼ね合い
国民の意識改革
自己責任の制度
自由に生きることは難しい
お金を受け取ることへの抵抗
第五章 これからの時代
本当の豊かさとは何か
国の在り方が問われている
世界における日本の役割
3)著者紹介
あまつのりと
昭和49年8月生まれ
東北大学卒
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