今回のKindle Singlesインタビューのなかで、バラク・オバマ大統領は「文化の変化」に非難の矛先を向けた。そのおかげでアメリカン・ドリームに対する私たちの見解は変わってしまったという。「今と違い、かつては金持ちや有名人のライフスタイルを垣間見る手段がなかった」と大統領は指摘する。「子どもたちはキム・カーダシアンが何を着ているか、カニエ・ウェストがどこで休暇を過ごしているかを毎日確認したりしなかったし、それが成功の証だと考えることもなかった」。また、彼は雇用問題を個人的な視点から語り、政治で成功を経験していなければ、今とは違うどんな人生を歩んでいたかに思いを巡らせた。そして「良い教師になっている自分は想像できるね」と答えてくれた。
この2013年7月30日にテネシー州チャタヌーガにあるAmazonの施設で行われたインタビューで、、政府のプログラムには具体的な成果が伴わなければならないと、オバマ大統領は力説する。そのうえで従来のメッセージから脱線しないよう配慮しつつ、世界同時不況をきっかけに深刻の度を深めているアメリカ政治の分極化、自分の取り組みに対する共和党の非協力的な姿勢について率直に語った。プライベートについては、大統領とファーストレディという特殊な立場の人間を親に持った娘たちに対する教育方針を披露。失業と景気後退に苦しむ世界で「ふたりの置かれている環境は少し現実離れしている」ことを常に自覚してもらうよう、妻ミシェルと共に心がけているという。
今回のインタビュアーはAmazonのKindle Singlesのエディターのデイビィッド・ブルームさんだ。ブルームは。『ウォールストリート・ジャーナル』紙の記者を皮切りに、『ビレッジ・ボイス』、『ニューヨーク・プレス』、『02138』各誌の編集長を歴任した。『ニューヨーク・タイムズマガジン』誌でライター兼エディターとして勤務した経験もあり、『ニューヨーク・マガジン』と『エスクァイア』の両誌では編集を担当。著書は、『Flash in the Pan: The Life and Death of an American Restaurant』(はかなく消えた成功:あるアメリカのレストランの生と死)(1992年出版)、『Tick...Tick...Tick...: The Long Life & Turbulent Times of 60 Minutes』(カチカチカチ……60分の長寿と混乱の時代)(2004年出版)の2冊がある。シカゴ大学で英文学の学士号を取得した。
表紙デザイン:アディル・ダラ・キム/写真:ホワイトハウス公式写真