はじめに
本書では、毎月開催されているGINZAX・銀座セミナーなどで取りあげた企業の中から、30社を厳選しています。
選択の基準は、序章や準備編にて詳しく解説しますが、いわゆる推奨銘柄ではありません。あくまで、経営者や従業員も含めた企業のクオリティーとビジネスモデルに着目し、将来も安定的高成長を遂げると思われる企業を発掘することが基本です。選定に当たっては、バフェットはもちろんのことポーター(「競争戦略論」で高い評価を得ているハーバード大学教授)の「競争戦略」に関する考え方を大いに参考にしています。バフェットは「競争戦略」の核心を「川に1本しか橋がないビジネス」=「強固な堀」、ポーターは「参入障壁」と表現していますが、どちらも基本的には同じことを言っています。これらの「堀=参入障壁」を維持することができる企業が「ナンバーワン」であり続けることができるのです。
GINZAX30社は、このような「競争戦略」に優れた企業の中から選ぶわけですが、具体的な選定に当たっては次のことを心がけています。
1、同じ実力を持った企業が複数あれば、2014年版で紹介されていない企業を優先して選ぶ。これは、より多くの優良企業を紹介するための基準です。
2、選出する企業のビジネスモデルは、できるだけ多様になるようにする。また、非常に似通ったビジネスモデルの企業が複数ある場合は、その中から1社のみを選ぶ。これは、より多くの優れたビジネスモデルを紹介するための基準です。
3、基本的には「長期・安定的」に成長すると考えられる企業を選択するが、「長期・安定的な成長」についてはやや不透明ながらも、革新的なビジネスモデルで「チャレンジ」を行っている企業も数社含める。これは、次世代をリードするような企業も網羅するための試みです。
そしてもちろん、このように優良かつ成長性の高い企業を選択することは投資で成功する上で極めて重要ですが、単純に優良成長企業に投資を行うだけでは大きな成果を望むことができません。
「いつ購入するのか?」というタイミングもきわめて重要です。基本的には株価が、会社が本来持っている価値(=定価)をできる限り下回った【割安】=[十分な安全余裕率を持った]水準で購入すべきです。
しかし、自動車、電化製品、食品などと違い、定価や標準小売価格が存在しない企業の適正な価格(株価)を判断するのは必ずしも簡単ではありません。そこで以下に、企業の定価を判断するために役立つ私の著書をご紹介します。
★『勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす』(PHP研究所)
前半部分は投資の基本的知識や金融商品全般に関する解説と評価の方法、後半部分は5年単位で長期投資を行うのに適した企業の発見方法などについて述べています。企業だけではなく、各種金融商品の「定価」を判断する上で大いに役立ちます。
★日本株で成功する バフェット流投資術 (日本実業出版社)
「世界一の投資家」であるウォーレン・バフエットがどのような観点で企業の「定価」を判断し大成功を収めたのかを、具体的な日本企業の事例を挙げながら、基礎からわかりやすく解説します。
★企業情報を読み解け! バフェット流【日本株】必勝法=永久保有銘柄を見抜く18のポイント(日本実業出版社)
バフエット投資の真骨頂ともいうべき「永久保有銘柄」を見出す方法を解説します。四季報、決算書、企業ホームページの読み解き方に重点が置かれています。これらのデータを読み解くことは、「企業の定価」を決める上でも極めて重要です。
★「バフェットに学ぶ【永久不滅投資法】」―損を出さないで永遠に資産を増やすことは可能かー(同友館)
前記の書籍群とは異なり、決算書や会社四季報のデータには基本的に触れていません。「永久保有銘柄」となりえる企業の「ナンバーワンになるための競争戦略」にスポットを当てました。「ブランド力」と「仕入れ力」が「ナンバーワンになるための競争戦略」を読み解くキーワードです。現在のバフェット(バークシャー)の保有銘柄のほとんどをこのキーワードで分析し、日本の優良企業群も同じキーワードで具体的に解説しています。本書は「企業の未来の定価」を知るために極めて重要な本だといえます。また、GINZAX30社の選定の基本となる「バフェットの競争戦略論」を知る上でも重要な内容が書かれています。
以上の書籍を熟読いただいた後、御自身で判断された企業の(未来の)「定価」よりも実際の株価が下回っていれば投資のチャンスということです。
なお、上巻で15社下巻で15社、合計で30社の企業をご紹介しますが、今回は上下巻合本の形式としました。また、2014年版のGINZAX30社に掲載された企業のうち、今回選外となった企業に関しては、すべての企業についてその理由を記載しています。多くの場合、優良企業であり続けているが、より良い企業が現れたことが原因です。これらの選外に漏れた企業も2014年版で研究する価値が十分あると考えます。
★今回からの新しい試みとして、巻末に2社の有望な米国企業をご紹介しています。
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